飲食店向けPOSレジの選び方のコツ

選択のポイント

価格はもちろん気になるところですが、飲食店向けPOSレジについては予算の範囲内で以下の点に注意しながらを選ぶのががおすすめです。

• 本体の種類
• ハンディーの種類
• 集計・本部機能
• 設置サービスの有無
• 購入後のサポート体制

機能については、どのメーカーも高機能をうたっていますが、なぜPOSレジを導入したいのかを振り返って、導入する店舗にとって本当に必要な機能は何かを一つづつ挙げて検討することでセールスコピーに惑わされずにPOSレジ選びができるようになります。

POSレジ本体について

専用機 高価ですが修理体制が整っていることが多く、5年以上使い続けることができます。商品キーやテンキー入力のタイプはタッチパネルに比べて素早く確実に入力できるメリットがあります。最近はスタイリッシュなものも出てきましたが比較的設置スペースを取る傾向にあります。
PC(パソコン) 市販のパソコンにアプリケーションをインストールして使います。メーカーごとに動作条件があるので、あまり低スペックなものを選ぶと業務上のストレスになる可能性があります。
タブレット iPad / Androidなどです。比較的安価に導入できるので現在専用機に対してもう一つの主流となりつつあります。見た目がスマートで設置スペースを取りません。専用機に比べると耐久性は高くないと考えた方が良いです。故障した場合、修理よりは買い換えることが多いでしょう。メーカーがブラウザ方式をうたっているものは専用アプリのタイプに比べてボタンなどの反応が遅い傾向にあります。

ハンディーについて

専用機 東芝テックやSIIが代表的なメーカーです。高価ですがf修理体制が整っていることが多く長期間使い続けることができます。お店によっては10年以上使い続けることも。ハンディに多い落下などの故障に関してもメーカーがパーツを提供しているので部品交換による修理で対応できる場合があります。通信の安定性が比較的高いです。
iPod Touch iPhone、iPod touch、Androidスマートフォンなどを利用するタイプです。一台当たりの価格が専用機に比べて安いので特に多くの台数を導入する場合に大きなコスト上のメリットがあります。専用機に比べると耐久性は高くないため各メーカーで保護ケースをつけるなど対応していますが、落下などの故障に関しては修理が難しく基本的に買い替えになります。通信にWi-Fiを使うため、店内のWi-Fi環境をしっかりと整える必要があります。

ASP(集計・本部機能)について

日報、時間帯・商品別の売り上げ分析、月報などの機能は各社で大きな差はないと考えて良いでしょう。飲食店向けのPOSレジとして差がつくポイントとして以下のものが挙げられます。

リアルタイム集計 クラウドタイプのPOSレジはレジ締めを行わずとも店舗の売上をリアルタイムで確認できることが多いです。複数の店舗を運営するオーナーやマネージャーの方にに便利な機能です。
タイムカード機能 勤怠機能を備えたタイプであれば、毎月のタイムカード集計を自動化できます。簡易的に店舗の人件費を算出してくれるシステムもあります。基本料金に含まれている場合とオプションで別途料金が発生する場合があるので注意が必要です。
電子マネー・クレジットカード連動 従来から一定の割合を占めるクレジットカード利用と急速に増加している電子マネー、どちらも入力ミスがあると顧客のお店への信頼が大きく損なわれてしまいます。連動機能で入力を半自動化することで入力ミスの可能性を減らすことができます。
複数店舗集計 複数店舗を経営するチェーン店においては必須の機能です。店舗ごとだけでなく複数店舗の合計の売上、商品分析を行う機能です。

Wi-Fi環境について

店舗のネットワーク設備について手配はできていますか?最新のPOSレジはインターネットに接続できることが前提で構成されていることが多く、ネットワークがしっかりつながるかは必ず事前に確認するようにしてください。

工事はしてもらえるか、運用中にトラブルがあった場合、どういった対応をしてもらえるのかは必ず確認すべき指標です。

設置サービスの有無

現在ほとんどのレジはインターネットの接続を前提に作られています。またレジ本体以外にハンディやキッチンプリンターを使用する場合はWi-Fi環境の整備やLAN配線が必要になります。これらの作業を経験者が適切に行わなかった場合、のちのちトラブルの元になる可能性があります。特にハンディの接続に必須のWi-Fiの品質は店舗のオペレーションに大きく影響します。ルーター、Wi-Fi用のアクセスポイント、キッチンプリンターがPOSレジのセットに含まれる場合は設置サービスが用意されているかどうかを確かめましょう。

購入後のサポートについて

導入した後にどのようなサポートを受けられるかも重要です。深夜営業、土日祝日の営業を行う店舗ではリアルタイムのトラブルに対してどのような対応ができるかを確認しましょう。また機械である以上故障は避けられません。現場訪問の仕組みを持っているかどうか、POS本体やプリンターについてはセンドバック(送り返し)による修理の期間に代替機を出してもらえるかどうかなどを確認しましょう。タブレットタイプのハンディについては修理の代わりに新規購入になる場合が多いですが、保守サービスとして一定金額を払うことで故障の際に補償を行うメーカーもあります。またハンディがつながりにくいなどWi-Fi環境のトラブルに対応してもらえるかどうかもポイントです。一般にフルサービスのサポートは高額になるので、どの程度まで求めるかを決めておくと良いでしょう。

まとめ

【POSレジの選び方①】本体価格以外のコストを確かめる

タブレットを使ったPOSレジが登場したことで、飲食店むけのPOSレジの価格ラインナップは大きく広がり、以前では考えられないような低価格をうたったPOSレジも登場しました。価格が安いのはもちろん嬉しいことですが、導入にあたってのLAN配線の工事、月ごとにかかる本部・集計機能の月額利用料やインターネット回線の費用など本体価格以外にかかる費用もあらかじめ計算に入れておく必要があります。セルフオーダー端末やハンディは台数ごとに月額の利用料が変動するシステムのメーカーもあり一律ではないため、検討する際にはメーカーごとに月々いくらかかるのかを計算してから比べるのが良いでしょう。

【POSの選び方②】本当に必要な機能は何かを意識して選ぶ

POSレジメーカーは各社ごとに高性能や多機能を打ち出しています。魅力的な機能が多くあるので、つい目を奪われがちですが、そのサービスが本当に導入する店舗にとって必要なものかを確かめてみましょう。例えば商品のレシピから原価計算を行う仕組みは飲食店にとって非常に魅力的ですが、その導入のためにはメニューごとのレシピの作成や発注システムとの連携、廃棄の記録など必要な条件がいくつもあり小規模な店舗での運用には比較的ハードルが高いのが現実です。提供速度をアップしたい、コスト管理を行いたい、レジの不正を無くしたいといった目的に優先順位をつけ、そのために必要な労力のバランスを考えなら検討をすることで導入後に結局使わなかったという事態を避けることができます。

【POSの選び方③】店舗でやらなければいけない作業を把握する

従来、飲食店用POSレジを導入するにあたって店舗がやらなければいけないことは余り多くありませんでした。しかし、最近のPOSレジ、特にタブレットPOSレジはセルフサービスでの導入を前提にしたメーカーも少なくありません。飲食店向けPOSレジの低価格化は、設置やメニューマスターの作成、従業員への講習などをオプションとして別料金で提供することで実現している面もあります。必要になる作業は上記の他にインターネットの契約・開設、LAN配線、電源の確保、POSレジ本体・プリンタの設置、POSレジ・ハンディの設定などです。スムーズなPOSレジ導入のためには店長様など導入店舗の責任者がどこまでを自分達でできて、どこまでをメーカーに任せる必要があるかを明確にしておく必要があります。

【POSの選び方④】導入前に保守・運用について確かめる

POSレジシステムは機械である以上、専用機かタブレット化を問わず、万が一でも故障などのトラブルが発生することはあらかじめ予測しておくべきです。故障やトラブルが発生した場合にメーカーや保守会社がどのような対応をしてくれるかは導入前にしっかりと確認しておきましょう。低価格をうたっているメーカーは訪問修理のサービスを提供していない場合がありますが、必ずしも手厚い保守サービスが必要というわけではありません。導入する店舗が忙しくどんなトラブルも迅速に解決する必要がある場合と、ある程度柔軟に対応できる場合があり、適切な保守サービスはそれぞれ異なるからです。訪問修理以外にも確認したいポイントとしては深夜のコールセンター対応の有無、故障時の代替品の貸し出し、ハンディなどの故障に対しての保守契約、Wi-Fiの通信やネットワークのエラーに関しての対応などです。

【POSの選び方⑤】メーカーの対応姿勢を確かめる

上記の①〜④の質問をまとめて、メーカーに質問してみましょう。特に保守契約やトラブル時の対応についてしっかりと対応する姿勢が感じられるかどうかは大きなポイントです。低価格化が進んだと言ってもPOSレジは一旦導入してしまえば入れ替えるのは大変です。クラウド型サービスのメーカーであれば利用期間中ずっとお店の大切な売り上げデータを預けることにもなります。一つの取引先として信用できる会社かどうかを注意深く見極めましょう。

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